ベンチャーラボ法律事務所 | 弁護士 淵邊 善彦

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2019.06.17 TOPICS

ベンチャー・スタートアップ・企業の資金調達 vol.1

創業間もないベンチャー・スタートアップ企業にとって、更なる成長をしていくためには資金調達が大きな課題の一つとなります。ここでは数回にわたって、資金調達について掲載します。



資金調達の選択肢は大きく分けて出資を受ける(資本性の調達)か、借入をする(負債による調達)かになります。

そして、できる限り助成金の申請を検討すべきです。助成金の申請には時間がかかり、審査もあります。受領が決まったとしても事業計画が終了してから(通常1~2年後の後払い)となるため、立替払いが発生します。そのため、出資金で賄いきれない資金需要は、まず借り入れで補うことになります。

しかし、資産も業歴もあまりないスタートアップ企業が、いきなり銀行借入をすることには大きな困難が伴います。創業時に民間の金融機関から無担保で融資を受けることはまず無理です。そこで、借入を検討する場合、まずは信用保証協会の保証付き融資を検討しましょう。


【1】東京都の制度融資、「創業」

東京都では、新規の創業資金、創業後の事業資金を調達したい方のために「創業融資」を設けています。詳しくはこちら☟

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/ac17266838b20784ce234cf220511906.pdf

資金使途:運転資金、設備資金

融資限度額:3,500万円

融資期間:運転資金は7年以内、設備資金は10年以内

利率は、返済方法や会社内容、窓口となる銀行により異なりますが、年率1.5~2.5%の範囲です。


<信用保証協会の保証を受ける>

この融資を受けるためには、東京信用保証協会の保証が必要となります。

東京信用保証協会とは、「信用保証協会法」に基づく公的機関であり、事業経営に取り組んでいる中小企業が金融機関から事業資金の融資を受けるとき保証人となって借入れを容易にし、企業の育成を金融の側面から支援する機関です。

つまり、保証協会の保証があれば、金融機関に融資を断られることはまずないといってよいでしょう。


<保証の受け方>

ではどのようにして保証を申し込むのでしょうか?方法は2つあります。まずは直接、企業の納税地がある保証協会の支店の保証課窓口へ申し込む方法です。

支店の検索はこちら☟

http://www.cgc-tokyo.or.jp/about/branch/index.html

もう一つは金融機関経由で申し込みをする方法です。後者の方が融資の申し込みと同時に保証の申し込みもできるのでお勧めです。また、銀行の担当者の助言も受けながら創業計画や資金繰りの作成を行うことができるので、財務面があまり得意ではない創業者の方には金融機関経由がおすすめです。

保証の審査の結果、保証の承認が下りたら、「信用保証書」が窓口の金融機関に送られ、融資が実行されます。この時、信用保証料が、融資実行時に元本から差し引かれます。信用保証料(年率0.45~1.90%で保証協会の基準で計算)は、東京都で創業された場合、都からの補助が出るため上記から半額になります。


<特例措置の受け方>

 さらに、「創業支援特例」の対象になると、「創業融資」の金利から0.4%の優遇が受けられます。また、事業開始の6か月前(通常は2か月前)から融資の申し込みができる他、会社設立時の登録免許税の減免も受けられます。この対象になるには、以下のいずれかを満たす必要があります。

(1)産業競争力強化法(平成25年法律第98号)第2条第23項第1号に 規定する認定特定創業支援事業により支援を受け、区市町村長の証明を受けていること。

(2)商工会議所・商工会、公益財団法人東京都中小企業振興公社または信用 保証協会より認定特定創業支援事業に準ずる創業支援を受け、その証明を受けていること。

つまり、公的機関に相談し、創業に関する指導を受けることが必要です。そのためには、本社の登記地を管轄する区役所に問い合わせ、その区が産業競争力強化法に基づく「創業支援等事業計画」として国の認定を受けているか聞きましょう。受けている場合、認定を受ける手続きについてホームページなどに載っていますので、それに従って進めます。ちなみに、当事務所がある港区のホームページは以下のようになっています。☟

https://www.minato-ala.net/guide/kaigyo/kaigyo08.html

区が国から認可を受けていない場合、上記(2)の商工会議所のビジネスサポートデスクへ相談に行きましょう。担当の拠点の検索は以下です。☟

https://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/bsd/

ちなみに、当事務所の管轄は浜松町の「東京南」です。

ここへ電話をすると親切な相談員さんと中小企業診断士の先生が創業計画の話を聞いてアドバイスをくださり、創業計画書を一緒に作成していただけます。様々な助成金や人脈を広げるためのセミナー、講習会等、大変有意義な情報をいただくこともできます。

次回に続く

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